
午前Ⅱ(論文)対策。過去問題を使って、解法の流れを確認していくシリーズ。令和6年(2024年)の秋試験を扱います。今回はプロマネ午後Ⅱの問2です。
こんにちは!セイジュン@エンジニア応援隊(@39Seijun)です。論文の解法については、午後Ⅱ対策でまとめています。今回は、令和6年(2024年)の問2を使ってプロット作成をやってみます。
さて、2024年午後Ⅱ問2のタイトルは「メンバーの状況に応じたリーダーシップの選択について」です。近年、PMの午後Ⅱ問題のテーマも、ホント個別具体的になってきました。
ここ2、3年見ただけでも、「プロジェクト終結時の評価(令和5年問2)」、「ステークホルダとのコミュニケーション(令和4問2)」など、かなり粒度が細かくなってきましたね。昔は、もう少し上位概念・抽象的だったかなと思います。
それだけ、プロジェクトマネジメントが机上の空論・座学ではなく、実際の現場でリファレンスすべき実学になってきたのでしょう。
今回もかなり実務的なテーマ、「リーダーシップの選択」について、です。
かつて「リーダーシップ」と言えば、人柄であったり、声の大きさであったり、個々人のPMの持つ性格みたいに思われていましたが、ここでは学ぶことによって後天的に身に着けられるものとして扱われています。
また、「選択」というワードも独特です。局面局面で発揮すべき「リーダーシップ」を「選択」して使い分けるということなのでしょう。「リーダーシップを発揮しろ!」ではなく、その先の次元で「使うべきリーダーシップを選択すべし」とさらに粒度が細かくなっていると感じます(すごい時代になってきましたね~)。
という具合にタイトルだけで色々推測させられる問題ですので、今回も(問1と同様に)このまま問い本文を紐解いていきましょう。
「システム開発プロジェクトでは、①プロジェクトを支持している影響力のあるステークホルダの異動、②外部要因によるスコープ・スケジュールの変更要求など、外部環境の変化に対応する必要がある」と始まります。
なんか、やけに①が具体的だなあと下線をひきながら続きを読み進めます。「リーダーは、外部環境の変化によってチーム状態が悪化した場合、リーダーシップを発揮して悪化状態を改善する」「その際、個々のメンバーの状況を把握、それに応じたリーダーシップを【選択】し、行動を使い分ける必要がある」として第1段落終了です。
そして、第2段落。「例えば」から始まります。二つの「選択」すべきリーダーシップを、その状況と共に展開していきます。
「①メンバー間で対立が継続している場合、双方と積極的にコミュニケーションをとる。メンバーだけでは対立が解消困難な場合は、指示的なリーダーシップを選択。リーダーが考える対策を適用させる行動をとる。
②(対立の影響で)メンバーの士気が低下している場合、不安や不満を傾聴。動機付けが必要な場合は、支援的なリーダーシップを選択。自主的な取組を促す行動をとる。」
北風と太陽(ちょっと違うか)というか良い刑事と悪い刑事(これも違うか)というか、まあ分かりやすい「選択すべきリーダーシップ」像ですね。これで問い本文、終わりです。2段落という簡潔な論旨展開でした。
では、設問ア~ウを見ていきましょう。
設問イ 設問アで述べた外部環境の変化によって悪化したプロジェクトチームの状態、悪化した状態の改善に向けて把握した個々のメンバーの状況、それらの状況に応じて選択したリーダーシップとこれに基づく具体的な行動、それぞれの行動を使い分けた理由について、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
設問ウ 設問イで述べたリーダーシップを発揮した後の、改善したプロジェクトチームの状態、及び状態の改善に対する評価について、プロジェクトの活動を阻害するおそれのある外部環境の変化への対応結果を含めて、600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
では、問の本文を読む前に、論文の骨組み(プロット)を、設問ア~ウに沿って作成してみましょう。設問での文字数指示から凡その文字数も補記してみます。
1.私がマネジメントとして携わったプロジェクトチームについて・・・設問ア(800字以内の指示に応える)
1.1.プロジェクトチームの特性(200字)
1.2.プロジェクト活動を阻害するおそれのある外部環境の変化(400字)
1.3.阻害するおそれがあると考えた理由(200字)
2.悪化したプロジェクトチームの状態と発揮したリーダーシップ・・・設問イ(800字以上1,600字以内の指示に対して、1,200字を想定)
2.1.悪化したプロジェクトチームの状態(300字)
2.2.把握した個々のメンバーの状況(300字)
2.3.選択したリーダーシップと具体的な行動(300字)
2.4.行動を使い分けた理由(300字)
3.改善したプロジェクトチームの状態と改善に対する評価・・・設問ウ(600字以上1,200字以内の指示に対して、900字)
3.1.改善したプロジェクトの状態(300字)
3.2.改善に対する評価(300字)
3.3.外部環境への対応結果(300字)
どうでしょう。凡そのバランス、こんな感じではないでしょうか。何点かランダムで。
まずは、設問アの冒頭「プロジェクトチームの特性」と「外部環境の変化」ですが、問い本文の中に「影響力のあるステークホルダの異動、外部要因によるスコープ・スケジュールの変更要求」とあるので、ここらあたりを特性として挙げておくと、項2(設問イ)以降の伏線として使えると思います。
続いて、設問イについて。項2は、前半(2.1.と2.2.)と後半(2.3.と2.4)に大きく2つに分けてもいいと思います。文字数は前半後半同じにしていますが、問われているのは「リーダーシップ」についてですので、後半にウエイトを置くことを見失わないように。
ここで、「リーダーシップ」について、IPAのプロマネ項のシラバスを見ておきましょう。以下の記述がありました。
【概要】
適切なマネジメントには適切なスタイルのリーダーシップが必要である。マネジメントのスタイルには集権(統制)型と分権(委譲)型がある。集権型マネジメントでは PM 一人に権限が与えられていて支配型のリーダーシップが適合する。分権型マネジメントでは、権限がメンバーに与えられていて支援型のリーダーシップが適合する。【要求される技能】
・チームが、自律的にパフォーマンスを最大限に発揮するよう促し,支援する能力
・適切なマネジメントのスタイル、リーダーシップのスタイルを選択し、修整する能力
先に、「北風と太陽」と書きましたが、「集権(統制)と分権(委譲)」とありますね。リーダーシップの「選択」=使い分けとは、これのことですね。集権と分権の具体的な行動を何故それを選んだか含めて、今までの体験・実例と併せて記載すれば合格、となります。
項3.(設問ウ)です。ここはリーダーシップを発揮した結果の状況なのですが、まあ良くなったねと書くのが普通ですね。ちょっと悩むのが「3.3.外部環境への対応結果」。
そもそも「外部環境の変化」の具体例をどう記載するかによるのですが、「スコープ・スケジュールの変更要請」として書いた場合は、いずれにせよそれを「突っぱねた」とは書けないでしょうから、「条件付き許容」ないしは「代替案の策定」「バーターで他の権利獲得」を上手くまとめられるか、が鍵になりそうです。
いかがでしたでしょうか。今回はここまで、です。では、試験勉強、そして本番、頑張りましょう~。